命に直結する疾患救急体制について

「柏から東葛北部へ~救急医療・災害医療のネットワークを目指して~」

2025 年を目指して、地域医療計画が公表されました。
二次医療圏において、計画病床を配分するこの計画は明確に二次医療圏での医療の完結を示唆しています。
その中で、今後の課題と方向性は次の2 点と考えます。
 Ⅰ.救急医療における疾患毎のネットワークを拡大する。
 Ⅱ.各市における災害時医療体制について情報を共有し、連携を図る。

救急の疾患毎のネットワーク事業は、既に柏市において“命に直結する疾患のネットワーク事業”として3 市GIB ネットワーク(2018 年より5 市に拡大)、柏ハートネットが稼働しており、いずれも効果的に活動しています。
前者は、柏・松戸・流山の3 市の病院で運営する消化管出血の内視鏡的治療を行うネットワークであり、2010 年から稼働しており、夜間・休日を輪番制でカバーしています。市境を超えての協力体制が評価されてか、千葉県医師会や消化器病学会で賞を頂いたり、お隣の埼玉東部MC から設立に至る経緯と問題点等について講演依頼を受けたりしています。(図1)

後者は、柏の循環器救急医療を支えるネットワークで、冠動脈疾患を対象に緊急カテーテルが行える医療機関が連携し、緊急PCI を可能とするシステムです。救急搬送の2010 プロトコール改訂に伴い、冠動脈疾患を疑う症例は、輪番病院を超えて、第一選択として緊急心臓カテーテルのできる施設に送るルールとなり、これに対応するために構築されました。
2015 年の5 月より、ICT を用いた救急搬送システムを導入、救急隊がタブレットから送信した患者情報をネットワーク病院の循環器内科医の持つホットラインのスマートホンに一斉送信するシステムで、受入れの迅速化、適正化が図れます。同システムについては、厚生労働省や総務省から視察を受けており、注目されています。(図2)

同じく脳卒中についてもTPA を使用できる病院に送ることが望ましいとされており、脳卒中ネットワークの構築を呼び掛けているところです。

今後の展望としては、ネットワーク事業を二次医療圏に広げるとともに、対象の疾患等も拡充していく必要があると考えます。関係する皆様と今後の方向性を協議し、また、東葛飾北部MC や実際に診療を行う救急病院の先生方のご意見を伺いながら進めていきたいと思います。